最後の息子

a0002458_12383330.jpg最後の息子
吉田 修一 (著)
文春文庫

第84回(平成9年)文学界新人賞受賞作の最後の息子ほか、2作からなる短編集です。

①最後の息子
オカマさんと同棲し、何でもビデオに撮る癖のある青年の話。ビデオを通して心境の変化を追う。タイトルはオカマと結婚したらアンタの家の最後の息子になるねってこと。英訳はThe Last Son including Water。水中って何だよって思ったら、その水かよ。
②破片
破片は長崎の酒屋さん一家の話。帰ってきて帰っていく話と親子で海へ貝を採りに行く話の2つが別々に進み最後に結実する。破片って何のことだっけ?
③Water
長崎の高校水泳部の青春もの。恋愛あり、好敵手あり、対決あり、チャレンジありのあだち充の漫画に出てきそうな話。最後の県大会は手に汗握る展開。

それぞれ共通点があり、①②③とも身近な人が死ぬ。①②はビデオやカメラを撮りまくる人がいる。①③は身近な人がホモ。②③は主人公が長崎の酒屋の兄弟。吉田修一は長崎の酒屋の兄弟?なんだか作品から作者像が想像できそうです。

3作とも登場人物それぞれが悶々とした悩みを持っていてそれを踏まえた人間関係や場面の描写が上手です。最後の息子と破片は表現のために独特の構成・手法が用いられていて物書きの方には勉強になるのではないかと思います。対話形式で話が展開することが多く、読みやすいです。随所に用いられている長崎弁から故郷への愛が感じられました。
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by ikumuw | 2005-03-13 12:39 | books | Comments(0)


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