不実な美女か貞淑な醜女か

a0002458_15343248.jpg不実な美女か貞淑な醜女か
米原 万里 (著)

ロシア語通訳の米原万里さんのエッセイ第一作。通訳という仕事の中身とその困難、そして、やりがいを米原さん本人と通訳仲間のエピソードを盛り込みながらユーモアたっぷりにつづったもの。タイトルは不実か貞淑かというのは原文に忠実かどうか、美女か醜女かというのは訳が良い文章かどうかというものです。通訳としては往々にして不実な美女か貞淑な醜女が多いとのこと。例えば、話し言葉では冗語が多く、それを全て訳していたのでは内容がわかりにくくなってしまうということ。本書は読売文学賞を受賞したのですが大江健三郎氏に「読売文学賞の歴史において最悪のタイトル」と言われたそうです。通訳現場で感じた言語・文化の違いと注意点や翻訳と通訳の違いなど興味深い内容でした。とても良いエッセイです。

語学を学ぶ人にとって有用なこともたくさん書かれています。例えば、読めばわかるが使いこなせない消極語彙と話したり書いたりするときに能動的に使える積極語彙の概念。最近、積極語彙の少なさを痛感していて増やす努力をしています。意識するのと意識しないのでは効果が違うはず。

米原万里さんは今年5月25日に亡くなったそうです。
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by ikumuw | 2006-07-03 15:34 | books | Comments(0)


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