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図書室の海

a0002458_1521025.jpg図書室の海
恩田 陸 (著)

この本は恩田陸さんには珍しい短編集です。これがうまいことに長編の予告編だったり、番外編だったりしている。あの夜のピクニックの予告編「ピクニックの準備」も収録されています。こんなのあり?と思ったのですが、よくやられることみたいですね。予告編と長編、どちらを先に読んでも両方が楽しめます。と解説に書いてあります。そうでなくても、ちょっと敷居の高い長編を読まずとも手軽に恩田陸ワールドを感じることができる一冊といえるのではないでしょうか。どの作品もなぞを含んだまま終わります。内容はホラーだったり、ミステリーだったり、SFだったり。
私が特に気に入ったのは『オデュッセイア』(これは長編とはつながっていません)。意思を持って動ける島ココロコの歴史。
本書の最後に収録されている『ノスタルジア』の最後のページに書かれている一説を↓に。
懐かしさ、それだけが僕たちの短い人生の証拠だ。数々の記憶が僕たち一人一人を作っている。記憶の中の懐かしい人々、懐かしい風景、僕たちの愛した人たち、僕たちを愛した人たち、それらが僕たちのすべてなのだ。

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by ikumuw | 2005-07-31 16:54 | books | Comments(0)

大切なことは60字で書ける

a0002458_1525427.jpg大切なことは60字で書ける
高橋 昭男 (著)

60字で書ける。何が書けるかというと一文がです。この本のタイトルは
『他人に情報を伝えるためには一文には伝えたいひとつの情報を。必要でないものを排除し、簡潔な文章にすれば60字以内に収まります。』
という趣旨を意味します。しかし、これについて書かれているのは冒頭部のみで中盤はわかりやすい文章を書く際に気をつけなければいけないこと、後半は使えるひな型集、つまり、テンプレートのことが書かれています。ひな型は非常に有用と思います。どんなものがあるというと
  Q&A、時系列、箇条書き、並行方式、積み重ね方式、段階式、起承転結、序破急
知っている人は知っているこれらの文章展開の基礎が解説されています。
ちょっと気がかりなことが参考文例が環境問題についてのものなんです。これがわかりにくいというか、あまり読む気を誘わないというか、、、もっと気を引くテーマや古典文学の名文を引用した方が良かったんじゃないかと思います。
全体としてはさすがに簡潔に書かれていて読みやすく、コンセプトも伝わってくる良書です。独創性には欠けるかな。
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by ikumuw | 2005-07-30 16:24 | books | Comments(0)

ゆっくりさよならをとなえる

a0002458_1255525.jpgゆっくりさよならをとなえる
川上 弘美 (著)

この本は川上弘美さん(代表作は『センセイの鞄』かな)のエッセイ集です。新聞や雑誌に掲載されたものがほとんどでそういう短めサイズです。300字ないくらい。それが5つに分類されて収録されている。5つ目はタイトルの「ゆっくりとさよならをとなえる」のみ。

私のお気に入りは3つ目で著者が読んできた本や漫画を取り上げて書かれたエッセイ。紹介されている本が読みたくなる。そんな文章です。

全体として内容は社会を鋭い視点から社会を切ったり、哲学的なことが書かれていたり、ということは全くなく力の抜けた感じで日々を綴っているだけです。つまり、日記。「私はこんな馬鹿なことをやってきたのよ」という感じ。読む方も力を抜いて読めます。著者曰く、 "統一感がまるでないが通底するものは「本のこと」と「まごまごした感じ」" なんだどうです。「まごまごした感じ」を感じてみてください。

「ゆっくりさよならをとなえる」最後の一文より:
 今まで言ったさよならの中でいちばんしみじみしたさよならはどのさよならだったかを決める(決まったら心の中でゆっくりさよならをとなえる)。
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by ikumuw | 2005-07-21 12:55 | books | Comments(0)

日本人のエイゴ言い間違い!―あなたもきっとやっている

a0002458_11521438.jpg日本人のエイゴ言い間違い!―あなたもきっとやっている
ティム・ヤング (著)

いつもお世話になっているアルクさんから新刊が出ていたので買ってみました。

内容は日本人のSST(Standard Speaking Test)の結果を分析し、日本人特有の典型的な間違いを集めたものです。初級~上級と分かれていて
 ・初級:主語、動詞、語順など文法的なミス、
 ・中級:語彙間違い、不完全な文章
 ・上級:複文、受動態などのミス
となっています。ページの構成はひとつの間違いに対して
 ①言いたい日本文、間違い英文、その日本語訳
 ②正しい文章と著者のコメント
 ③演習例題
 ④解答
の4ページになっています。①はイラストを使って笑いを誘うものになっています。何といっても演習例題がついていることが特徴で問題を解いて英語をおぼえたい人向きなんじゃないでしょうか。個人的にはページ数に対してちょっと情報量が少ないと思います。ジオスから出ている同じコンセプトの本の方が良かった。
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by ikumuw | 2005-07-20 11:51 | books | Comments(0)

アルタイの至宝展

a0002458_12531880.jpg仙台市博物館で開催中の
 ロシア科学アカデミー所蔵 アルタイの至宝展
  ~秘境シベリアから草原のシルクロードへ~
へ行ってきました。東京ならともかく仙台でこういった海外の宝物を見れるのは珍しいことです。日露修好150周年の記念展示らしい。この機会を逃したらもう日本では見れないかも。次は静岡へ行くらしいです。

アルタイはロシアのモンゴル、中国、カザフスタンの国境に近いエリアです。地理の知識から、"アルタイといえばアルタイ山脈、アルタイ山脈といえば金" というイメージです。この地域では金が産出され、古くから高度な精錬技術を持っていたため、金の装飾品が多数ありました。その中でもパンフレットに掲載されている金製山羊像(B.C.300~100)が有名なようです。この山羊像、実際見るとかなり小さい。小さいのにちゃんと細工がされており、活き活きとした生命力を感じる作品です。このほか、世界最古のシルクシャツやシャーマンの道具など、アルタイの生活・文化を展示品を通して見ることができます。

圧巻なのはマンモス骨格や入れ墨ミイラ(海外初公開)。こんなにツヤの良いミイラははじめて見ました。凍土の中にあったため、保存状態が良かったそうです。
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by ikumuw | 2005-07-13 12:50 | sightseeing | Comments(0)

ほっとする禅語70

a0002458_1501951.jpgほっとする禅語70
石飛 博光 (著), 渡会 正純

この本は書家である石飛さんとお寺の住職である渡会さんのコラボ作品です。70の禅語とそれに関するエッセイ。各禅語は石飛さんの達筆で書かれており、文字がその禅語の雰囲気を表す、まさに芸術作品です。この文字とエッセイがみごとに調和し、一冊に閉じ込められています。

禅語というと小難しそうですが実際は身近なものです。短いものでは"喝"や"黙"。長いものでは"月は青天に在り 水は瓶に在り"。小難しいことを簡単に、身近で簡単なことを深く、本書の独特のスタイルで表現されています。禅の心がきっと垣間見れるはず。

良書だなぁと愛読していましたが、最近、続編が出ていることを知りました。こちらも読まねば。
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by ikumuw | 2005-07-12 14:42 | books | Comments(2)

君の夢僕の思考―You will dream while I think

a0002458_12564328.jpg君の夢僕の思考―You will dream while I think
PHP文庫
森 博嗣 (著)

この本は60ほどのテーマからなり、各テーマごとに1,2ページの分量で、著者の撮った写真と多数ある作品の中から選んだフレーズ、そして、まとめの一言の3つが描かれている。哲学的思考を含んむ豊かな表現力あふれる文章でついついため息が出てしまう。枡野さんのハッピーロンリーウォーリーソングと同じにおいがします。こちらの方がより知的な感じ。そして、犬がかわいい。

著者の作品はほとんどがミステリーで、私はジャンル的にあまりミステリーは読まないのですがこれほど魅力的なフレーズを見せられては読まずにいられません。

実は森博嗣先生は某国立N大学工学部建築学科の助教授です(公式サイト)。私と専門が近いので学会でいつかお会いできるのではないかと期待しているのですが、今のところ、そういう機会に巡り合っていません。お会いできる日を楽しみにしています。

最後に、短めのものをひとつ。

知らないという認識 The self-consciousness of ignorance
知らないことは全然恥ずかしいことではない。百科事典が世界で一番えらいと思っている人はいない(いてもごく少ないだろう)わけで、「知らない」とは、倉庫の中にまだ余裕がある、という意味であって、むしろ喜ばしい状況ではないか。だから、それを恐れてはいけない。自分が何を知らないかを認識していさえすれば良い。 (「臨機応答・変問自在」18頁)
●全ては自覚である。それ以上に重要なことはないだろう。自分の位置を知ることがスタートである。
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by ikumuw | 2005-07-02 12:56 | books | Comments(4)