カテゴリ:books( 236 )

予想どおりに不合理

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ダン アリエリー/早川書房

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Predictably Irrational: The Hidden Forces That Shape Our Decisions

Dan Ariely/Harper

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Duke Universityの行動経済学を専門とする教授が執筆した行動経済学のベストセラー。人間は複雑な思考で行動しているため,一件,不合理に思える行動を取ってしまうことも多い。これを実験で解明していこうとする筆者の奮闘が描かれている。心理学と経済学を組み合わせた境界領域で面白い。また,この分野の研究者はこのような実験で評価していくのだなと勉強になった。学者らしくない文体で書いたそうで,和訳もそれを引き継いで読みやすい文体となっている。

by ikumuw | 2019-01-24 22:31 | books

ヒューマンエラーを防ぐ知恵

ヒューマンエラーを防ぐ知恵 ミスはなくなるか (朝日文庫)

中田亨/朝日新聞出版

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人為的なミスを回避するための具体的な方法を紹介している本。解説をして最後にサマリーというスタイル。人間はミスがつきもので,ミスすることを想定して何事も考えなければならないと言うことが,わかりやすく書いているとは思います。
大事なことが書かれているのはわかりますが,個人的には本書の内容にそれほど感化されませんでした。

by ikumuw | 2019-01-23 21:42 | books

教えるということ

新編 教えるということ (ちくま学芸文庫)

大村 はま/筑摩書房

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女性教師としてのさきがけで伝説的な国語教師として知られる大村はまさんの講演会の内容をまとめた著書。"教えるということ","教師の仕事","教室に魅力を","若いときにしておいてよかったと思うことを"の4つの講演内容が含まれています。講演内容なので口語でやや冗長ですが良いことが書かれています。印象に残ったもの,私が解釈したこととしては
・教えるということ: 教師たるもの研究すべし。人を教える立場の人間は貪欲に新しい知を求めるという姿勢でなければならない。
・教室の仕事: 教師という仕事は専門職であり,誰でも簡単にできることではないことと意識すべし。
・教室に魅力を: 学ぶことは本来魅力的で,それを引き出すことができれば,学校生活の多くの問題は解決する。
・若いときにしておいてよかったと思うことを: 何が良かったかはそのときにはわからないが,多くの良い機会を提供することが大切。
教師の教育に対する意識が高くなくては良い人材は育ちません。私自身,教育者でもあるので常に自身にそう言い聞かせています。

by ikumuw | 2019-01-10 23:16 | books

ゼロからトースターを作ってみた結果

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

トーマス トウェイツ/新潮社

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The Toaster Project: Or a Heroic Attempt to Build a Simple Electric Appliance from Scratch

Thomas Thwaites/Princeton Architectural Press

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英国Royal college of artの学生がゼロから,原料の精製からトースターを作ることにチャレンジしたという学位(修士?)研究に関する本。

安価なトースターを買ってきて分解して分析,同様のものを産業革命以前の方法で原料から作るという方針で,鉄や銅,プラスチックを精製したり,断熱材の材料を得るためにスコットランドへ行ったり。最後は時間切れか,電子レンジを使ったり,コインからニッケルを精製したり,はじめに決めたポリシーを破り始める。。。ものを作るということは大変労力がかかり,安価なトースターでさえ自分でゼロから作ることは難しいという教訓が得られる本です。量産品と一品モノは作り方を変えた方が良くて,ボディはプラスチックにこだわらず木や石から削り出せば良かったんじゃないかな。街中で手に入るものから材料を精製するとしても十分難しかったはず。部品を買っても良いとしても難しい。学生時代にこういうチャレンジをしていると,良いエンジニアになれるだろうなぁ。

by ikumuw | 2018-07-06 22:41 | books

すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議

すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議 (ブルーバックス)

日本表面科学会(編集)/講談社

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日本表面科学会が発刊したブルーバックス。同名の市民講座で同僚が講演するということで参加したところ,本書を頂きました。こういう取り組みは大事なのですが,著者が多いと一冊の中で文章のクオリティが大きくばらついてしまうので,少数精鋭でまとめた方が良いと思いました。専門語を使って専門的な説明をしてしまっている文章が散見されました。研究内容を一般人に簡略化して説明できることも研究者にとって必要な能力ですね。
by ikumuw | 2018-04-01 10:27 | books

田んぼが電池になる!

田んぼが電池になる!

橋本 和仁/ウェッジ

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東京大学教授 橋本和仁先生(現在,物質・材料研究機構理事長)が小学生にむけてエネルギーに関する最近の研究を紹介している著書です。

前半は光触媒を中心に有機物を分解する効果や超親水性を利用した事例紹介。汚れないトイレや空気浄化のように既に身近で利用されており,それがどのように実用化されていったかを解説しています。後半は太陽電池や燃料電池に関してタイトルのような田んぼを電池として使う驚きの研究。橋本先生が実際に利用することを想定して研究をされてきたことが感じられました。

日本は科学技術立国を目指しているわけで,このような一般の人にもわかる科学解説本は重要と思います。研究者本人が書くことに意義があるかはわかりませんが,いつかこのような一般向けの本も書いてみたいです。

by ikumuw | 2018-03-28 00:37 | books

できる研究者の論文生産術

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

ポール.J・シルヴィア/講談社

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How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing (Lifetools: Books for the General Public)

Paul J. Silvia/APA LifeTools

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米国の心理学者Prof. Paul J. Silviaの書いた学術文書をたくさん書くための指南書の翻訳本。

研究者は学術論文・著書・研究費申請書・プロジェクト報告書など,日常的にたくさんの学術文章を書く必要があります。私の実情としては仕事の30~40パーセントは書く作業になっています。仕事には締め切りがあるものとないものとあり,締め切りのあるものは締め切り近くまで練っておいて,直前に書くということがやられます。ときには簡単に書ける場合もありますが,たいていは難航して時間が予想以上に取られてしまい,結果的に他の仕事にも悪影響を及ぼします。締め切りのないものはいつまでたっても後回しになって,結局お蔵入りとなることも多い。。。これまで直前になると何とかできてきているので,直前になると馬力が出て何とか終わらせられると錯覚している研究者が多いと思います。

本書ではそんな悪癖とよくある言い訳を否定して,書くことを効果的に進めるための方法を提示しています。基本は文献調査や構想を考えることも含めて"論文創作作業を習慣化する"こと。毎日少しでも書く時間を設ける。目標を設定する。優先順位をつける。できたかどうかを記録する。同じ目的・悩みを持った同志とサポートグループをつくり支えあうことも勧めています。

後半には論文・著書の具体的な書き方についても触れていますが,前半の内容が特徴的で重要。短い本ですが大きな示唆がえられました。創作活動の習慣化は意識して時間をつくっているのですが,なかなか実行できていません。毎日の達成状況を記録・可視化することを取り入れたいと思います。

by ikumuw | 2017-11-23 12:47 | books

エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業


ITエンジニアにとって10年後も通用する本物の力が身につくという謳い文句の本著。ビジネスとIT,コンピュータ,プログラミング,ネットワーク,データベース,セキュリティ,人工知能の7章構成で,IT時代の常識を凝縮した一冊となっています。解説には図が多く使われており,イメージしやすくなっています。索引を使って専門用語の辞書としても使うこともできると思います。

by ikumuw | 2017-09-24 16:13 | books

ボノボとともに~密林の闇をこえて~

原題『Endangered』。絶滅危惧種(Endangered Species)である類人猿ボノボの子供オットーと米国から来た少女ソフィーの内戦中のコンゴを縦断するサバイバルアドベンチャー。
ソフィーとオットーの出会いから内戦勃発でボノボとの密林での生活,コンゴ川の船の旅,反乱兵との遭遇など,リアルな描写で実話なのではないかと思いながら読み進めました。本書に登場する内戦はフィクションですが,コンゴの実情を表した社会派ストーリーでもあります。秩序を失った内戦時のコンゴの人間社会と女性を中心とした穏やかなボノボの社会が対比されて,皮肉のように描かれています。オットーとソフィーの別れと再会のエンディングも感動的でした。

by ikumuw | 2017-08-20 21:28 | books

若き科学者へ

Advice to a young scientist (原著)
by Peter Brian Medwar, 鎮目恭夫(訳)

世界中の科学者に長年読まれている科学者への手引きであるMedwarの若き科学者へ(日本語訳)を読んでみました。Medwar先生はブラジル生まれで英国で活躍した大先生で1960年にはノーベル医学生理学賞を受賞しています。原著は1979年出版で当然ながら世界・学術界の状況は大きく変わっていますが,今でも通じる普遍的な記述が多分に含まれています。当時の英国における常識・教養を基に書かれているのでやや読みにくい部分もあります。内容は下記のような感じ。
  • 科学とは"解けるものを解く術"である
  • 科学者としての適正
  • 研究テーマの決め方,見つけ方
  • 研究の準備の仕方,進め方,まとめ方
  • 科学者の労働環境
  • 科学者として働くための心構え
10年前に読んでいたならいろいろと遠回りをせずに済んだかも。学生やポスドクに薦めます。

by ikumuw | 2017-08-15 10:01 | books